菊間 晴子/著 -- キクマ ハルコ -- 東京大学出版会 -- 2023.3 -- 910.268

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所蔵館 所蔵場所 請求記号 資料コード 資料区分 帯出区分 状態
県図一般 2階閲覧室 910.2/オ023 0116123936 一般図書   在架

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県図一般 1 0 1

資料詳細

タイトル 犠牲の森で
書名カナ ギセイ ノ モリ デ
副書名 大江健三郎の死生観
著者 菊間 晴子 /著  
著者カナ キクマ ハルコ
出版地 東京
出版者 東京大学出版会
出版者カナ トウキョウ ダイガク シュッパンカイ
出版年 2023.3
ページ数 7,484,9p
大きさ 20cm
内容紹介 殺された獣たちの亡霊、超越的存在としての樹木-。大江健三郎の作品の初期から後期作品までを対象に、その作品世界に満ちる独特なイメージ群を紐解き、「死生観」という切り口から作家の全体像に迫る。
NDC分類(9版) 910.268
ISBN 4-13-086064-2
ISBN13桁 978-4-13-086064-2
定価 ¥4800

目次

序論 「死生観」から大江を読む
第Ⅰ部 「壊す人」の多面性-『同時代ゲーム』
第一章 『同時代ゲーム』の背景
  一 はじめに
  二 「周縁」へ-「異化」
  三 「周縁」へ-「グロテスク・リアリズム」
  四 同時代へのアプローチ
  五 「理論のキャラクター化」としての「壊す人」
第二章 「犬ほどの大きさのもの」
  一 「壊す人」の再生譚
  二 メキシコの動物たち
  三 「村=国家=小宇宙」における犠牲獣たち
  四 「牛鬼」の表象
  五 大瀬の地に伝承される「牛鬼」
  六 「牛鬼」はどこから来たのか
  七 犠牲獣の亡霊としての「牛鬼」
  八 半獣半人の「壊す人」像
  九 犠牲獣としての「壊す人」
第三章 「暗い巨人」への帰依
  一 憑依する「壊す人」
  二 「壊す人」の巨大な肉体
  三 犠牲獣となることへの欲望
  四 「壊す人」との交感-「「罪のゆるし」のあお草」
  五 シャーマンとしての「僕」
  六 森に存する土着の神
  七 「神なる人間性」の宿る森
  八 『同時代ゲーム』に示された死生観と「壊す人」像
第四章 「森」という神秘のトポス
  一 「谷間の村」とは
  二 大瀬という場所
  三 「森」の多様性
  四 「異界」としての「森」
  五 大瀬の森へのまなざし
第Ⅱ部 犠牲獣の亡霊
第一章 皮を剝がれた獣たち
  一 はじめに
  二 「奇妙な仕事」の「犬」たち
  三 皮剝ぎという行為の意義
  四 人間と動物とをつなぐ紐帯
  五 皮剝ぎのエロティシズム
  六 供犠としての犬殺し
  七 亡霊を生み出す供犠
  八 亡霊のまなざし-「共同生活」
  九 「カンガルーほどの赤んぼう」-「空の怪物アグイー」
第二章 「御霊」を生むまなざし
  一 共同体における犠牲をめぐって
  二 「犠牲羊」としてのジン-『万延元年のフットボール』
  三 共同体における犠牲としての鷹四
  四 「身代りの山羊」の「御霊」化
  五 「サルダヒコ」のような縊死体
  六 「再審」、そして「穴」からの出立をめぐって
  七 犠牲獣による語り-「核時代の森の隠遁者」
  八 隠遁者ギーによるパフォーマンス
  九 犠牲獣へのまなざしの倫理
第三章 隠された「生首」
  一 「本当の首」を見ることはできない
  二 犠牲獣の「首」を迂回する語り-七〇年代
  三 奇妙な「首」なし死体-八〇年代
  四 Mさんの「生首」と「蚤の幽霊」
  五 三島由紀夫の「身体演技」
  六 想像力によるイメージの「歪形」
  七 「首」の埋葬と再生-『M/Tと森のフシギの物語』
  八 亡霊性とメディア
第四章 「後期の仕事」における亡霊との対話
  一 「後期の仕事」という実践
  二 「レイト・スタイル」に対する独自の意味づけ
  三 「二人組」構造と供犠
  四 「二人組」構造の「書き直し」
  五 「後期の仕事」の課題
  六 「ズレ」をつなぐ通信装置としての「田亀」-『取り替え子』
  七 「田亀」のシステムにおける死者の声
  八 「対話」の崩壊
  九 亡霊性の忘却としての「生み直し」のヴィジョン
第Ⅲ部 「総体」をめぐる想像力
第一章 自己犠牲と救済
  一 はじめに
  二 まなざしを斥ける「鎧」
  三 死の恐怖を克服させる「純粋天皇」
  四 「永遠の大樹木」としての「純粋天皇」表象
  五 「信仰」の対象としての「総体」
  六 構造体としての「黄金の菊の花」
  七 供犠における盲目的同一化
  八 「一」としての「鯨の木」-『洪水はわが魂に及び』
  九 到達し得ない「一」
第二章 救済を担う大樹
  一 「テン窪大檜」とは
  二 『懐かしい年への手紙』におけるテン窪
  三 「世界の中心」としてのテン窪大檜
  四 『燃えあがる緑の木』におけるテン窪の変容
  五 「燃えあがる緑の木」教会における「祈り」
  六 「祈る」人間の象徴としての樹木
  七 「中心」に依拠しない救済
  八 供犠小説としての『燃えあがる緑の木』
  九 テン窪大檜のその後
第三章 聖なる窪地と亡霊たち
  一 聖地「テン窪」
  二 大江作品における窪地表象の系譜
  三 生の痕跡としての「穴」
  四 亡霊を沈めた聖地
  五 テン窪造形の背景-大瀬北地域
  六 大瀬北地域に刻まれた「穴」
  七 現実世界と作品世界のあわいで
補論 テン窪を探して
  一 テン窪にモデルは存在するか
  二 中野
  三 大久保
  四 大瀬北
第四章 「神」なき「祈り」の場
  一 終末思想とその帰結への応答
  二 「総体」をめぐる想像力の解体
  三 「総体」としての「神」
  四 「反キリスト」として「神」に対峙する
  五 「古い人」としての「反キリスト」へ
  六 焼身自殺
  七 「神」への同一化の欲望
  八 「最後の小説」の「書き直し」
  九 「再臨」する「獣」
結論 「犠牲の森」の変容